高い査定額を出す会社の注意点
不動産の売却を考えたとき、少しでも高い査定額を提示してくれる会社に依頼したいと思うのは自然なことです。しかし、査定額の高さだけで会社を選ぶと、結果的に数百万円の損失につながるケースがあります。
札幌の不動産市場では、2026年現在も地下鉄沿線やJR沿線の物件需要が堅調な一方、エリアや物件の状態によって査定額に大きな開きが生じています。
この記事では、高い査定額を出す会社に潜むリスクと、札幌で適正な査定額を見極めるための具体的な方法を解説します。
不動産会社が高い査定額を出す3つの理由
同じ物件でも、不動産会社によって査定額が500万円以上異なることは珍しくありません。その背景には、会社ごとの目的や査定方法の違いがあります。
媒介契約を取るための「釣り査定」とは
不動産会社の収益は、物件を売却したときに発生する仲介手数料です。そのため、まずはお客様と媒介契約を結ぶことが最優先になります。
一部の会社では、他社より高い査定額を提示して媒介契約を獲得し、その後に「市場の反応が悪い」という理由で値下げを提案するケースがあります。これが業界で「釣り査定」と呼ばれる手法です。
札幌の不動産市場では、道内の取引件数が年間約2万8,000件前後で推移しており、競争の激しいエリアほどこうした手法が見られる傾向があります。
査定方法の違いが価格差を生む仕組み
不動産の査定には主に「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」の3つの方法があります。どの方法を重視するかによって、算出される金額は変わります。
たとえば、築25年の戸建てを取引事例比較法で査定すると1,800万円でも、原価法では建物の残存価値が低く評価され1,400万円になることがあります。
査定額の根拠となる方法を確認せずに、金額だけで比較するのは危険です。
高額査定の裏に潜む5つの危険サイン
高い査定額を提示された際に、注意すべきポイントがあります。以下のサインが見られたら、その査定額の信頼性を慎重に判断してください。
- 根拠となる成約事例を示さない:「このエリアなら売れます」と言うだけで、過去の取引データを提示しない会社は要注意です
- 売却活動の具体的な戦略説明がない:広告の出し方、内覧の進め方、ターゲット層の設定について明確な計画を持っていない
- 他社の査定額を聞いてから金額を上乗せする:お客様が他社の査定結果を伝えた途端に金額を引き上げる会社は、根拠のない査定をしている可能性があります
- 媒介契約の期間が異常に長い:一般的な専任媒介契約は3ヶ月ですが、6ヶ月以上を求める場合は注意が必要です
- 査定書に「販売想定期間」の記載がない:いつまでにいくらで売れる見込みかを明示しない査定書は、高い金額を出すだけ出して責任を持たない姿勢の表れです
札幌では、地下鉄沿線の物件で約3〜5社が同時に査定を行うケースも多く、比較する際にこれらのサインを見逃さないことが重要です。
札幌で信頼できる査定額を見極める方法
高い査定額に惑わされないためには、お客様自身が適正価格を把握しておくことが大切です。札幌ならではの判断基準をお伝えします。
査定書の比較で確認すべき項目
複数の会社から査定書を受け取ったら、金額だけでなく以下の項目を比較してください。
- 参考にした成約事例の件数と時期:直近6ヶ月以内の事例を3件以上使っているか
- 価格の算出根拠:坪単価・平米単価が明記されているか
- 販売想定期間:何ヶ月で売れる見込みかが記載されているか
- 想定される売却費用:仲介手数料や諸費用が差し引かれた手取り額が示されているか
これらの項目が揃っている査定書を出す会社は、根拠のある査定を行っている可能性が高いといえます。
地価動向と積雪リスクを反映した適正価格の考え方
札幌の不動産価格には、北海道特有の要素が影響します。2026年の地価公示では、札幌市の住宅地平均地価は前年比約3.2%の上昇を示しています。
一方で、積雪が多いエリアでは冬季の内覧が困難になるため、11月〜3月にかけて成約率が約15〜20%低下する傾向があります。この季節変動を査定額に反映しているかどうかも、会社の信頼性を測る指標になります。
寒冷地特有の建物劣化リスク(凍結による配管破損、外壁のひび割れなど)を考慮した査定を行う会社は、適正な金額を提示する傾向があります。エリアごとの相場一覧も参考にしてください。
査定額だけで会社を選ぶと失敗する理由
高い査定額を信じてそのまま売り出した結果、長期間売れ残り、最終的に大幅な値下げに至るケースは少なくありません。具体的な流れを見ていきましょう。
売り出し価格と成約価格の乖離が起きる流れ
一般的に、査定額と実際の成約価格には差が生じます。札幌のマンション市場では、売り出し価格に対する成約価格の比率は平均で約92〜95%とされています。
しかし、相場より高い金額で売り出した場合、この比率は80%台まで下がることがあります。たとえば3,000万円で売り出した物件が、最終的に2,400万円で成約するケースです。
値下げ交渉で数百万円損するケース
相場より高い価格で売り出すと、以下のような流れで損失が拡大します。
- 売り出し後1〜2ヶ月:内覧が少なく反応が薄い
- 3ヶ月目:不動産会社から5〜10%の値下げを提案される
- 4〜6ヶ月目:さらに値下げし、購入希望者からの値引き交渉も入る
- 6ヶ月以降:「売れ残り物件」という印象がつき、さらに価格が下がる
この間の住宅ローンや固定資産税、管理費の支払いも続くため、最終的な手取り額は当初の査定額より300〜500万円低くなることもあります。適正価格でスタートしていれば防げた損失です。
不動産会社を比較するときの正しい手順
信頼できる会社を見つけるには、査定額の比較だけでなく、担当者の対応力や提案内容も含めて総合的に判断することが重要です。
複数社の査定書を並べて確認するポイント
最低でも3社以上の査定を受けることをお勧めします。その際、以下の視点で比較してください。
- 査定額の最高値と最低値の差が20%以上あれば、最高値の根拠を重点的に確認する
- 成約事例として挙げている物件の所在地・築年数・面積が、お客様の物件と近いか
- 売却にかかる諸費用(仲介手数料約3%+6万円、登記費用、印紙税など)が明記されているか
道内の不動産取引では、売主が負担する諸費用は売却価格の約4〜6%が目安です。この費用を差し引いた手取り額で比較するのが正しい方法です。
担当者との面談で聞くべき質問リスト
査定書を受け取った後、担当者に直接確認すべき質問をまとめました。
- 「この査定額の根拠となる成約事例を3件見せてください」
- 「この金額で売り出した場合、何ヶ月で売れる見込みですか」
- 「売れなかった場合、いつ・いくらの値下げを提案しますか」
- 「広告はどの媒体に出しますか。ポータルサイトへの掲載は含まれますか」
- 「過去1年間で、このエリアで成約した件数は何件ですか」
これらの質問に具体的な数字で答えられる担当者は、地域の市場をよく理解しているといえます。査定のご相談の際にもぜひご活用ください。
高額査定に騙されないための事前準備
査定を依頼する前に、お客様自身で相場を把握しておくことで、不当に高い査定額を見抜く力がつきます。
自分で相場を調べる簡単な方法
以下の方法で、ご自身の物件のおおよその相場を確認できます。
- 国土交通省の「土地総合情報システム」:過去の成約価格を地域・物件種別で検索可能
- 地価公示・地価調査:国や北海道が発表する公的な地価データ。札幌市内の基準地価を確認できます
- 不動産ポータルサイト:現在売り出し中の類似物件を検索し、売り出し価格の相場感を掴む
- 当社の無料AI査定ツール:電話なしで、物件情報を入力するだけで参考価格がわかります
これらの情報を事前に調べておけば、不動産会社の査定額が相場から大きく外れていないかを自分で判断できます。
売却にかかる費用を事前に把握する
売却時にかかる主な費用は以下のとおりです。
- 仲介手数料:売却価格×3%+6万円(税別)。2,000万円の物件なら約66万円
- 印紙税:売買契約書に貼付。1,000万円超〜5,000万円以下の場合は1万円
- 登記費用:抵当権抹消登記で約1〜3万円(司法書士報酬含む)
- 譲渡所得税:利益が出た場合に課税。所有期間5年超なら税率約20%、5年以下なら約39%
これらの費用を把握しておくことで、査定額から手取り額を正確に計算でき、高い査定額に惑わされにくくなります。札幌市街地エリアのマンション別の相場情報もあわせてご確認ください。
よくある質問
Q: 査定額が高い会社と低い会社で差が出るのはなぜですか
A: 査定方法の違いと、会社ごとの目的の違いが主な原因です。取引事例比較法・原価法・収益還元法のどれを重視するかで金額は変わります。
また、媒介契約を獲得するために意図的に高い金額を提示する会社もあるため、査定額の根拠を確認することが大切です。
Q: 高い査定額を出す会社に依頼して失敗しない方法はありますか
A: 最低3社以上の査定を受け、各社の査定根拠を比較することをお勧めします。成約事例のデータや販売戦略を具体的に説明できる会社を選んでください。
査定額だけでなく、担当者の対応力や売却実績も含めて総合的に判断することが、失敗を防ぐポイントです。
Q: 札幌で適正な査定額を知るにはどうすればよいですか
A: 国土交通省の土地総合情報システムや地価公示データで、札幌市内の成約事例や基準地価を確認できます。
また、道内の不動産市場は季節変動が大きいため、直近6ヶ月以内の成約事例を参考にすると、より正確な相場が把握できます。
Q: 査定から売却完了までどのくらいの期間がかかりますか
A: 札幌の場合、一般的な目安として査定から成約まで約3〜6ヶ月、引き渡しまで含めると約4〜7ヶ月です。
ただし、冬季(11月〜3月)は内覧数が減少するため、売却期間が1〜2ヶ月長くなる傾向があります。春先の売り出しが比較的スムーズに進みやすいです。




