専属専任媒介とは?3つの違いを解説
不動産を売却するとき、不動産会社と結ぶ「媒介契約」には3つの種類があります。なかでも専属専任媒介契約は、売主と不動産会社の結びつきがもっとも強い契約形態です。
「専属専任媒介とは何が違うの?」「自分に合う契約はどれ?」と迷う方は少なくありません。
この記事では、専属専任媒介契約の基本から、専任媒介・一般媒介との違い、札幌で売却するときの選び方まで、具体的な数値とともにわかりやすく解説します。
専属専任媒介契約とは?基本の仕組み
専属専任媒介契約の定義と、売主・不動産会社それぞれに課される義務を確認しましょう。
専属専任媒介契約の定義と法的な位置づけ
専属専任媒介契約とは、1社の不動産会社だけに売却活動を依頼する契約です。宅地建物取引業法(宅建業法第34条の2)に基づいて定められています。
この契約を結ぶと、売主が自分で買主を見つけた場合でも、必ず契約した不動産会社を通して取引しなければなりません。これが他の媒介契約との大きな違いです。
契約書には以下の事項が記載されます。
- 契約期間:最長3ヶ月(法定上限)
- レインズ登録義務:契約締結日から5日以内
- 業務報告義務:1週間に1回以上
- 仲介手数料の率:売買価格の3%+6万円+消費税(400万円超の場合)
- 違約金の取り決め:中途解約時の条件
契約期間の上限は3ヶ月ですが、双方の合意があれば更新できます。更新のたびに改めて書面を交わす必要がある点も覚えておきましょう。
札幌で不動産売却を進める際の方法や費用について詳しく知りたい方は、エリア相場一覧もあわせてご確認ください。
売主と不動産会社それぞれの義務
専属専任媒介契約では、不動産会社に重い義務が課される一方、売主側にも制約があります。
- 不動産会社の義務:5日以内のレインズ登録、週1回以上の活動報告、積極的な販売活動
- 売主の義務:他の不動産会社への依頼禁止、自己発見取引の禁止
不動産会社には販売活動の「結果」だけでなく「経過」を報告する義務があります。問い合わせ件数や内覧件数などを毎週確認できるため、活動状況を把握しやすいのが特徴です。
3種類の媒介契約の違いを比較
媒介契約には「専属専任」「専任」「一般」の3種類があります。それぞれの違いを比較表で整理します。
専属専任・専任・一般媒介の比較表
| 項目 | 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 |
|---|---|---|---|
| 依頼できる会社数 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社OK |
| 自己発見取引 | 不可 | 可能 | 可能 |
| レインズ登録義務 | 5日以内 | 7日以内 | 義務なし |
| 業務報告頻度 | 週1回以上 | 2週に1回以上 | 義務なし |
| 契約期間上限 | 3ヶ月 | 3ヶ月 | 制限なし(一般的に3ヶ月) |
レインズ登録義務と報告頻度の違い
3つの媒介契約で最も大きな違いは、レインズ(不動産流通機構)への登録スピードと報告の頻度です。
専属専任媒介は契約から5日以内にレインズへ登録されるため、全国約13万社の不動産会社に物件情報が共有されます。専任媒介は7日以内、一般媒介には登録義務自体がありません。
報告頻度も専属専任が週1回と最も多く、売却活動の進み具合をこまめに確認できます。一般媒介では報告義務がないため、各社の動きが見えにくくなる傾向があります。
専属専任媒介が向いている人・向かない人
どの媒介契約を選ぶかは、売主の状況によって変わります。判断基準を具体的に整理します。
専属専任媒介を選ぶべきケース
以下のような状況の方は、専属専任媒介契約が適しています。
- 早く売りたい方:レインズ登録が最速5日以内で、広く買主を探せる
- 売却活動を任せたい方:1社に集中して依頼でき、窓口が一本化される
- こまめに状況を知りたい方:週1回の報告義務で進捗が把握しやすい
- 遠方に住んでいる方:複数社とのやり取りが不要になる
- 築20年以上の物件を売る方:不動産会社が広告費をかけやすく、販売に注力してもらえる
特に売却までの期間を3ヶ月以内と考えている方には、不動産会社の販売意欲が高まる専属専任媒介が有利です。
一般媒介の方が合うケース
一方、以下に当てはまる方は一般媒介を検討してもよいでしょう。
- 人気エリアの物件:複数社が競争することで、より高い価格での売却が期待できる
- 自分でも買主を探したい方:知人や親族への売却の可能性がある場合
- 時間に余裕がある方:半年〜1年かけて売る計画の場合
札幌の地下鉄沿線やJR沿線の駅徒歩10分以内のマンションなど、需要の高い物件は一般媒介でも早期売却できるケースがあります。
札幌で媒介契約を選ぶときのポイント
札幌ならではの不動産市場の特徴を踏まえた、媒介契約の選び方を解説します。
札幌の不動産市場と媒介契約の関係
北海道の不動産取引件数は、2025年の統計で年間約3万8,000件です。このうち札幌市内が約6割を占めており、道内では圧倒的に流通量が多い市場といえます。
ただし全国的に見ると、首都圏や関西圏に比べて買主の絶対数は限られます。札幌の中古マンション平均成約日数は約90日〜120日といわれ、東京の60日〜90日と比較すると時間がかかる傾向です。
そのため、1社に集中して販売活動を任せる専属専任媒介は、限られた購入検討者に確実にアプローチする手段として有効です。市街地エリアの物件相場を事前に確認しておくと、適正な売出価格の設定に役立ちます。
マンション名別の相場情報も参考にしてみてください。
冬季の売却活動で専属専任が有利な理由
札幌を含む北海道では、12月〜3月の冬季は不動産取引が大きく減少します。積雪で内覧件数が通常期の約50〜60%まで落ち込むことも珍しくありません。
冬場に売却を始める場合、一般媒介で複数社に依頼しても各社の動きは鈍くなりがちです。専属専任媒介なら不動産会社の報酬が確保されるため、積雪期でも広告掲載やオンライン内覧の提案など積極的な活動が期待できます。
道内の冬季売却では、除雪された状態での外観写真や、春先を見据えた先行販売戦略が重要です。専属専任の週1回報告を活用して、季節に合わせた販売戦略を不動産会社と共有しましょう。
専属専任媒介でよくある失敗と対処法
専属専任媒介は手厚いサポートが受けられる反面、注意すべき落とし穴もあります。具体的な失敗パターンと防止策を紹介します。
囲い込みを防ぐチェックポイント
「囲い込み」とは、不動産会社が他社からの購入申込みを意図的に断り、自社で買主を見つけようとする行為です。売主と買主の両方から仲介手数料を得る「両手仲介」を狙って起きることがあります。
囲い込みを防ぐためのチェックポイントは以下のとおりです。
- レインズ登録証明書を受け取る:契約後5日以内に発行されるか確認する
- レインズの掲載状況を確認する:売主専用のログインIDで物件の公開状況をチェックできる
- 問い合わせ件数を毎週確認する:内覧申込みがゼロの週が3週以上続く場合は要注意
- 他社に物件確認を依頼する:知人を通じて他の不動産会社から問い合わせてもらう方法もある
2025年のレインズ改正により、売主がオンラインで物件ステータスを確認できる仕組みが整備されました。「公開中」の表示になっているかを定期的にチェックすることが、もっとも手軽な囲い込み防止策です。
契約期間中に不満が出たときの対応
専属専任媒介契約の期間は最長3ヶ月です。期間中に不動産会社の対応に不満を感じた場合の対処法を押さえておきましょう。
- まず担当者に改善を依頼する:報告内容の不足や連絡頻度の少なさは、書面で改善要望を伝える
- 会社の相談窓口に連絡する:担当者では解決しない場合は、店長やお客様相談室へ
- 契約更新しない:3ヶ月の期間満了で契約は終了し、更新の義務はない
- 正当な理由での途中解除:不動産会社が義務を果たしていない場合(報告義務違反・レインズ未登録など)は、違約金なしで解除できる可能性がある
一般的に、正当な理由なく売主側から途中解約すると、それまでにかかった広告費などを請求される場合があります。安易に解約するのではなく、まずは改善要望を明確に伝えることが大切です。
媒介契約から売却完了までの流れ
専属専任媒介契約の締結から物件引き渡しまでの手続きを、時系列で具体的に解説します。
契約締結から引き渡しまでの手続き
- STEP1:査定依頼(1〜2週間):複数社に査定を依頼し、価格の根拠や販売戦略を比較する
- STEP2:媒介契約の締結(1日):専属専任媒介契約を締結。契約書の内容を確認し、署名・捺印する
- STEP3:レインズ登録・販売開始(5日以内):物件情報がレインズに掲載され、ポータルサイトにも広告が出る
- STEP4:内覧対応(1〜3ヶ月):購入検討者の内覧に対応。札幌では月平均3〜5件の内覧が目安
- STEP5:購入申込み・価格交渉(1〜2週間):買主から申込みが入ったら、価格や条件の交渉を行う
- STEP6:売買契約の締結(1日):重要事項説明を受けたうえで売買契約を結ぶ。手付金として売買価格の5〜10%を受け取る
- STEP7:決済・引き渡し(約1ヶ月後):残代金の受領と同時に所有権移転登記を行い、鍵を引き渡す
各ステップにかかる期間の目安
査定から引き渡しまでの総期間は、一般的に約3〜6ヶ月です。札幌では冬季を挟むと6ヶ月以上かかることもあります。
仲介手数料は、売買価格が2,000万円の場合で約72万6,000円(税込)、3,000万円の場合で約105万6,000円(税込)が上限の目安です。
このほか、印紙税(1万円〜)、登記費用(抵当権抹消で約1万5,000円〜2万円)、引越し費用(札幌市内で約8万〜15万円)なども見込んでおくとよいでしょう。売却にかかる総費用は、売買価格の約4〜6%が目安です。
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よくある質問
Q: 専属専任媒介契約の期間はどれくらいですか?
A: 法律で定められた上限は3ヶ月です。期間満了後は、同じ会社と更新するか、別の会社に切り替えるかを自由に選べます。
更新の判断基準としては、3ヶ月間の内覧件数・問い合わせ件数・担当者の報告内容を総合的に評価するのがおすすめです。
Q: 専属専任媒介の仲介手数料はいくらですか?
A: 売買価格が400万円を超える場合、法定上限は「売買価格×3%+6万円+消費税」です。たとえば2,500万円の物件では約87万円(税込約95万7,000円)が上限となります。
札幌では上限額をそのまま請求する会社が多い傾向ですが、交渉により値引きに応じる会社もあります。複数社の査定時に手数料率も比較しておくと安心です。
Q: 専属専任媒介で失敗しないための注意点は?
A: もっとも注意すべきは囲い込みです。レインズの登録証明書を必ず受け取り、売主専用ページで物件が「公開中」になっているか確認してください。
また、不動産会社選びでは査定価格だけでなく、販売戦略の具体性や過去の成約実績を比較することが大切です。週1回の報告内容が薄い場合は、早めに改善を求めましょう。
Q: 札幌で専属専任媒介を依頼するにはどうすればよいですか?
A: まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額・販売戦略・担当者の対応を比較検討します。札幌の地下鉄沿線やJR沿線に強い会社を選ぶと、地域の買主ニーズに合った販売活動が期待できます。
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