不動産買取の相場は仲介の何割になるか
不動産会社に買取を打診すると、仲介で売り出す場合の査定額より低い金額が提示されます。「思っていたより安い」「なぜこの金額なのか説明がほしい」と感じる売主の方は多く、札幌でも同じご相談を日常的にお受けしています。
この記事では、不動産の買取相場が仲介相場の何割になるのかという目安と、その金額がどのような計算で導かれるのかを、内訳の項目ごとに分解して解説します。あわせて、7割を下回ってしまう物件と8割近くまで届く物件の違い、そして買取価格を少しでも引き上げるために売主ができることをまとめます。
買取相場は仲介相場のおおむね7割が目安
まず結論からお伝えすると、不動産の買取価格は、仲介で売れると想定される価格の7割前後が一般的な目安です。物件の種類や状態によって、おおむね6〜8割の範囲で上下します。
- 中古マンション:再販時のリフォーム範囲が室内に限られるため比較的高めで、目安として7〜8割になることが多いです。
- 中古戸建:屋根・外壁・給排水など建物全体の改修が必要になりやすく、目安は6.5〜7.5割程度です。
- 土地・古家付き土地:解体費が読みやすい一方で、造成や境界確定の費用が乗ることがあり、6〜7.5割が目安になります。
- 再建築不可・借地・共有持分:買い手が限られるため、5割前後まで下がることもあります。
たとえば仲介での想定価格が2,000万円の物件なら、買取価格は1,300万〜1,500万円あたりが標準的な着地点です。3,000万円なら2,000万〜2,300万円というイメージになります。この幅から大きく外れた金額を提示された場合は、その根拠を確認したほうがよいでしょう。
買取価格はこう計算されている
買取価格は「仲介での成約想定価格から、再販に必要な費用と会社の利益を差し引いた残り」として計算されます。値切っているのではなく、引き算の結果としてその金額になる、という構造です。
- リフォーム費・解体費:中古戸建で水回り中心の改修なら200万〜400万円、フルリフォームなら500万〜800万円。木造30坪程度の解体は札幌で150万〜250万円が目安です。
- 不動産取得税:会社が買い取った時点で課税されます。住宅の場合の税率は固定資産税評価額×3%が原則です。評価額1,000万円なら30万円になります。
- 再販時の仲介手数料:売買価格800万円以下は税込33万円が上限、800万円超は(価格×3%+6万円)×1.1が上限です。2,000万円で再販すると約72万6,000円になります。
- 登記費用・印紙税・保有コスト:所有権移転登記の登録免許税と司法書士報酬、売買契約書の印紙税、保有期間中の固定資産税や火災保険料が発生します。
- 不動産会社の利益とリスク分:仕入資金の金利、売れ残った場合の値下げリスク、想定外の追加工事に備えた余裕分が含まれます。
この積み上げが、結果として全体の2〜3割程度を占めます。だからこそ「不動産の買取相場は仲介の7割前後」という目安が実務上の相場観として定着しているわけです。
札幌の物件でのシミュレーション
実際にどのような計算になるのか、札幌市内でよくあるパターンを例に見てみます。あくまで目安としてのモデルケースで、実際の金額は個別に変わります。
- 築28年・木造2階建・土地165㎡(約50坪)の戸建:仲介での想定価格1,800万円。リフォーム350万円、諸経費と税で約110万円、再販時の仲介手数料と販売経費で約80万円、利益とリスク分を見込むと、買取価格はおおむね1,200万〜1,280万円です。
- 築22年・専有面積70㎡の中古マンション:仲介での想定価格1,900万円。室内リフォーム220万円、諸経費で約90万円を見込み、買取価格は1,400万〜1,470万円あたりになります。
- 古家付き土地・敷地200㎡(約60坪):更地としての想定価格1,500万円。解体費200万円と諸経費を差し引き、買取価格は950万〜1,050万円というイメージです。
マンションのほうが割合として高く出ているのは、外装や構造の改修が管理組合の管理範囲であり、会社が負担する工事が室内に限られるためです。同じ7割前後という目安でも、種類によって数字の出方が変わる点は押さえておいてください。
8割に近づく物件と、6割を下回る物件
同じ買取でも、割合が高く出る物件と低く出る物件があります。どちらに当てはまるかを知っておくと、提示額の妥当性を判断しやすくなります。
- 割合が高くなりやすい:築15年以内でそのまま住める状態、地下鉄沿線の駅徒歩10分以内、需要の厚い市街地エリア、間取りが3LDK前後で再販しやすい、といった条件です。手を入れずに再販できる物件は8割近くになることもあります。
- 割合が低くなりやすい:接道が2m未満で再建築ができない、傾斜地で擁壁の補修が必要、既存不適格、事故物件、越境や境界未確定といった権利上の問題を抱えるケースです。
- 札幌特有の下げ要因:屋根の雪処理が難しい形状、ロードヒーティングの故障、融雪槽の老朽化、間口が狭く除雪車の入りにくい私道接道などは、再販時の販売力に響くため査定に反映されます。
- 市街化調整区域:建築の制限が厳しく買主が限られるため、市街化区域の相場より大きく下がることが一般的です。
逆に言えば、これらの要素は仲介で売る場合にも同じように影響します。買取価格だけが極端に低いように見えても、そもそもの仲介相場が実力より高く見積もられているケースもありますので、両方の根拠を突き合わせて確認することが大切です。
札幌では季節によっても買取の判断が変わる
北海道の不動産市場は、季節による動きの差がはっきりしています。この点は買取を検討する時期の判断に直結します。
- 冬期は仲介の成約に時間がかかる:12月から3月は積雪で内見が入りにくく、外壁・基礎・庭・駐車スペースが雪に覆われて確認できません。売り出しから成約まで、通常より2〜3か月長引くことがあります。
- 雪解け後は動きが戻る:4月以降は現地確認がしやすくなり、土地の取引も動き出します。時間に余裕があるなら春を待つ選択も合理的です。
- 3月末の転勤需要:道内・道外への異動時期に合わせて動く買主は一定数いるため、1〜3月に問い合わせが増える物件種別もあります。
- 保有コスト:空き家のまま冬を越すと、除雪の委託で1シーズン10万〜20万円程度、暖房の凍結防止や火災保険も含めると相応の負担になります。
JR沿線の郊外や江別市・北広島市といった近郊では、こうした季節要因の影響がより出やすくなります。冬に急いで手放す必要があるなら買取、春まで待てるなら仲介、という整理の仕方も現実的です。
買取価格を少しでも上げるためにできること
買取価格は計算の積み上げで決まるため、その計算の前提を改善できれば金額は上がります。売主側でできることは意外に多くあります。
- 複数社に査定を依頼する:再販のノウハウや販売網は会社ごとに違い、同じ物件でも200万〜300万円の差が出ることがあります。
- 書類を揃えておく:測量図、建築確認済証、増改築の履歴、設備の保証書などが揃っていると、会社側がリスク分を上乗せせずに済みます。
- 残置物を減らしておく:家財の処分費用は査定額から差し引かれます。戸建1棟分だと20万〜50万円程度になることもあります。
- 過剰なリフォームはしない:会社は再販時に自社の仕様で改修するため、売主が先に工事をしても費用分が価格に上乗せされるとは限りません。
- 相場を先に把握しておく:仲介での想定価格を知らないまま交渉すると、根拠のある値上げ交渉ができません。
まずは目安の金額を知るところからです。電話なしで使える無料AI査定ツールで概算を確認し、お住まいの区の水準はエリア別の相場一覧、マンションであればマンション名から無料査定でも調べられます。なお税金の取扱いは個々の事情によって変わりますので、譲渡所得の計算など最終的な判断は税務署または税理士にご確認ください。
よくある質問
Q: 不動産の買取相場は仲介の何割が目安ですか
A: 一般的には仲介での成約想定価格の7割前後が目安で、物件によっておおむね6〜8割の範囲に収まります。
中古マンションは7〜8割、中古戸建は6.5〜7.5割になりやすく、再建築不可や共有持分などの物件では5割前後まで下がることもあります。
Q: なぜ買取だと3割も引かれるのですか
A: 会社が再販するまでにかかる費用と利益をあらかじめ差し引いて計算しているためです。リフォーム費、固定資産税評価額×3%の不動産取得税、再販時の仲介手数料、登記費用、保有中の固定資産税などが含まれます。
提示額に疑問がある場合は、その内訳を項目ごとに説明してもらうと納得しやすくなります。
Q: 買取価格は会社によって差が出ますか
A: 出ます。再販のノウハウや自社の販売網、リフォームの内製化の度合いによって、同じ物件でも200万〜300万円の開きが出ることがあります。
1社の金額だけで判断せず、複数社に依頼して条件と金額を比べることをおすすめします。
Q: 売る前にリフォームしたほうが買取価格は上がりますか
A: 多くの場合、費用に見合った上乗せにはなりません。買取後は会社が再販用の仕様で改修するため、売主が先に行った工事が無駄になることがあります。
それよりも残置物の処分や書類の準備のほうが、査定額への効果が出やすい傾向があります。
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