住宅ローンが残っている家を売る方法
「住宅ローンがまだ20年以上残っているけれど、転勤が決まったので家を売りたい」「離婚や住み替えで自宅を手放したいが、残債があるから売れないのではないか」。札幌市内で査定のご依頼をいただく方の中でも、こうしたご相談は非常に多いです。実際、住み替えを伴う売却では、ローンが残ったままの状態で相談に来られる方が半数以上を占めます。
結論から申し上げると、住宅ローンが残っている家でも売却はできます。ただし、抵当権を抹消するという条件が付きます。この記事では、残債があるまま家を売る具体的な流れ、必要な費用の目安、売却額が残債に届かないときの選択肢まで、札幌の実務にそって順番に整理します。
住宅ローンが残っている家を売るための大前提
住宅ローンを借りるとき、金融機関は購入した土地と建物に抵当権を設定します。この抵当権が付いたままでは、買主はまず購入してくれません。返済が滞れば競売にかけられる可能性のある物件を、あえて買う人はいないからです。
- 抵当権の抹消が必須:売却して所有権を移すには、原則として抵当権を外す必要があります。
- 抹消には完済が前提:抵当権は、住宅ローンを完済して初めて外せます。一部返済だけでは外れません。
- 決済日に同時進行:多くの場合、決済日に買主から受け取った売買代金でローンを一括返済し、その場で抵当権抹消の登記を申請します。
つまり「完済してから売る」のではなく「売った代金で完済する」のが実務の順序です。決済当日は、買主・売主・仲介会社・司法書士が金融機関の応接室などに集まり、入金確認、一括返済、抵当権抹消書類の受け取り、所有権移転登記の申請までを1〜2時間程度で一気に済ませます。この段取りは仲介会社と司法書士が組み立てますので、売主が自分で手配する必要はありません。
最初にやるべきは残債と売却見込額の確認
住宅ローンの残債と、その家がいくらで売れそうかを並べて比べる。これが最初の一歩です。この2つの数字の大小で、その後の進め方がまったく変わります。
- 残債の確認:毎年届く返済予定表、またはネットバンキングの残高照会で分かります。売却予定月の残高で見るのが正確です。
- 売却見込額の確認:近隣の成約事例をもとにした査定額です。売り出し価格ではなく、実際に売れる価格の目安で見ます。
- 諸費用の確認:仲介手数料、印紙税、抵当権抹消費用などを差し引いた「手取り額」で比較します。
仲介手数料は、売買価格が800万円超の場合は一般的に「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額が上限です。800万円以下の場合は2024年7月の宅建業法改正で最大33万円(税込)まで受け取れることになっています。仮に2,500万円で売れた場合、仲介手数料はおおむね95万円前後、印紙税は1,000万円超5,000万円以下の区分で10,000円(軽減措置は令和9年3月31日まで)が目安になります。まずは電話なしで使える無料AI査定ツールで売却見込額のあたりを付け、残債と並べてみてください。
アンダーローンなら手元にお金が残ります
売却額が残債を上回る状態をアンダーローンといいます。この場合、売買代金でローンを完済しても差額が手元に残るため、進め方はシンプルです。
- 資金計画が立てやすい:残った現金を次の住まいの頭金や引越し費用に充てられます。
- 金融機関の同意が不要:完済できる以上、金融機関側に売却を止める理由がありません。
- 売り出し価格に余裕がある:多少値引き交渉が入っても、完済ラインを割らない範囲で調整できます。
たとえば残債1,800万円の家が2,400万円で売れた場合、諸費用を約100万円と見込むと、手元におおむね500万円前後が残る計算になります。この金額が読めていると、住み替え先の予算も具体的に決められます。
オーバーローンのときの3つの方向性
逆に、売却額が残債を下回る状態をオーバーローンといいます。この場合は売買代金だけでは完済できないため、追加の手当てが必要です。一般的には次の3つの方向で検討します。
- 不足分を自己資金で埋める:預貯金や親族からの援助で差額を補い、決済日に完済する方法です。最も確実で、金融機関との交渉も不要です。
- 住み替えローン(買い替えローン)を使う:残ってしまう残債と、新居の購入資金をまとめて借りる方法です。ただし、担保価値を超えて借りる形になるため、審査は一般的にかなり厳しくなります。年収や勤続年数、返済比率が細かく見られます。
- 任意売却を検討する:住宅ローンを滞納して期限の利益を喪失した場合などに、金融機関の同意を得て市場で売却する方法です。詳しくは別の記事で扱いますが、滞納が始まっていないうちは選べないケースが多い点に注意が必要です。
どの方法を選ぶにしても、金融機関への相談は早いほど選択肢が広がります。滞納が積み重なってから動くと、取れる手段が任意売却と競売にほぼ絞られてしまいます。
抵当権抹消と一括返済にかかる費用の目安
住宅ローンが残っている家を売る場合、通常の売却費用に加えて、返済と登記まわりの費用がかかります。金額としては大きくありませんが、事前に把握しておくと資金計画がぶれません。
- 抵当権抹消の登録免許税:不動産1個につき1,000円です。土地1筆と建物1棟なら合計2,000円になります。土地が2筆に分かれていれば3,000円です。
- 司法書士報酬:抵当権抹消の登記を依頼する場合、1〜2万円程度が目安です。所有権移転登記とまとめて依頼するのが一般的です。
- 一括繰上返済手数料:金融機関によって0円〜3万円程度と幅があります。ネット手続きなら無料、窓口だと有料という設定も多いです。
合計しても数万円の範囲に収まることがほとんどです。それよりも、繰上返済の手続きには金融機関側の事務日数が必要で、多くの場合は決済日の2週間〜1か月前には申し出ておく必要があります。ここを忘れると決済日がずれる原因になりますので、売買契約を結んだ段階で金融機関に連絡しておくと安心です。売却全体の費用と流れは売却の流れと費用・税金のページにもまとめています。
札幌で売るならタイミングの読み方も大切です
札幌で住宅ローンの残る家を売る場合、いつ売り出すかで成約までの期間が変わることがあります。北海道特有の季節要因があるためです。
- 冬期は内見が入りにくい:12月から2月は積雪で現地確認がしづらく、問い合わせの動きが鈍りがちです。庭や外構、駐車スペースが雪に埋もれて確認できないことも、判断を先送りされる一因になります。
- 春の転勤需要:1月から3月にかけては道内外からの転勤に伴う住宅探しが増え、問い合わせが集まりやすい時期です。雪解けが進む3月以降は現地確認もしやすくなります。
- 沿線による差:地下鉄沿線やJR沿線の駅から徒歩10分以内の物件は、通年で一定の需要が見込めます。一方、バス便中心の市街地エリア外周部は、冬場に動きが鈍る傾向があります。
残債の返済は毎月進みますので、売却が3か月遅れれば、その分だけ残債は減ります。ただし同時に、売り出し期間が長引くと「売れ残り物件」と見られて値下げ圧力がかかることもあります。地下鉄・JRの駅からの距離が価格にどう効くかは駅から無料査定で確認できますし、区ごとの相場感はエリア別の相場一覧をご覧ください。
売却で損が出たときの税金の扱い
売却額が購入時の価格を下回り、譲渡損失が出るケースもあります。とくに札幌市内でも郊外エリアや、バブル期前後に購入した物件では珍しくありません。この場合、一定の要件を満たすと税制上の救済措置が使える場合があります。
- 譲渡損失の損益通算:居住用財産の売却で出た損失を、その年の給与所得などと相殺できる場合があります。
- 繰越控除:その年に相殺しきれなかった損失を、翌年以降最長3年間にわたって繰り越せる場合があります。
- 要件は細かい:所有期間、居住していた期間、買い替えの有無、売却後の住宅ローン残高の有無などで適用可否が変わります。
なお、利益が出た場合の譲渡所得税は、所有期間5年以下で39.63%、5年超で20.315%が一般的な税率です。所有期間は売った年の1月1日時点で判定します。居住用財産であれば3,000万円の特別控除が使えることも多く、実際に納税が発生しないケースもあります。いずれにしても税務の適用判断は個別性が高いため、最終的な判断は税務署または税理士にご確認ください。ローンの取り扱いについては金融機関、法的な問題が絡む場合は弁護士への相談が適切です。
よくある質問
Q: 住宅ローンが残っていても家は売れますか
A: はい、売却は可能です。多くの場合、決済日に買主から受け取る売買代金でローンを一括返済し、同時に抵当権を抹消する形で進めます。
残債が売却額を上回る場合は、不足分の自己資金を用意するか、金融機関の同意を得る必要があります。
Q: 残債がいくらあるかはどこで確認できますか
A: 毎年送られてくる返済予定表や、金融機関のインターネットバンキングの残高照会で確認できます。
正確な数字が必要なときは、金融機関に完済予定日を伝えて「繰上返済シミュレーション」を依頼すると、一般的に手数料込みの金額を出してもらえます。
Q: 抵当権の抹消には何がいくらかかりますか
A: 登録免許税が不動産1個につき1,000円かかります。土地1筆と建物1棟なら合計2,000円です。
司法書士に依頼する場合の報酬は1〜2万円程度が目安で、別途必要になります。
Q: 売却して損が出た場合、税金の取り扱いはどうなりますか
A: 一定の要件を満たす居住用財産の売却で損失が出た場合、給与所得などとの損益通算や、最長3年間の繰越控除が使える場合があります。
要件は細かく、住宅ローンの残っている家かどうかでも扱いが変わりますので、最終的な判断は税務署や税理士にご確認ください。
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