空き家を放置するとどうなるか
相続した実家に誰も住まないまま、「とりあえず今は様子を見よう」と空き家を放置してしまうケースは少なくありません。しかし空き家は放置している間も固定資産税がかかり続けるうえ、管理が不十分だと行政から指導や勧告を受け、税負担がさらに増える可能性があります。
この記事では、空き家を放置するとどうなるのか、固定資産税の仕組みの変化や法律上のリスクを中心に整理します。札幌のように積雪のある地域では、放置による建物の傷みも早く進むため、早めに方針を決めることが大切です。
空き家を放置するとどうなるか(全体像)
空き家を放置すると、主に次のようなリスクが生じます。
- 固定資産税の負担が続く:住んでいなくても、所有している限り固定資産税は毎年課税されます。
- 建物の劣化が進む:換気や通水がされないことで、建物の傷みが早く進みます。
- 行政からの指導・勧告のリスク:管理が不十分な空き家は「特定空家等」に指定され、勧告を受ける可能性があります。
特に固定資産税については、特定空家等に指定されて勧告を受けると、税負担が大きく増えることがあるため、仕組みを理解しておく必要があります。札幌市内の住宅地で敷地面積150〜200㎡程度の実家であれば、年間の固定資産税は目安として10万円〜20万円程度になることが多く、特例が外れると数十万円単位で負担が増える可能性があります。
特定空家等に指定されるとどうなるか
空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、倒壊のおそれや衛生上の問題があるなど、適切な管理がされていない空き家は「特定空家等」に指定されることがあります。
- 指定の流れ:市町村による調査・助言指導を経て、改善されない場合に特定空家等に指定され、勧告が行われます。
- 固定資産税への影響:勧告を受けると、住宅用地に適用されていた固定資産税の住宅用地特例(200㎡以下の小規模住宅用地は課税標準が6分の1)が外れます。
- 税額の変化:特例が外れると、土地部分の固定資産税が3〜4倍程度に増えるケースもあります。
住宅用地特例は、建物が建っている土地の固定資産税を軽減する仕組みのため、勧告によってこの特例が外れると、家屋を維持しているにもかかわらず税負担だけが増えるという状況になりかねません。
2023年12月施行の改正空家法と「管理不全空家等」
2023年12月に施行された改正空家法では、特定空家等になる前の段階の空き家についても、対策が強化されました。
- 管理不全空家等の新設:そのまま放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家は「管理不全空家等」として、勧告の対象に加わりました。
- 早い段階での指導:特定空家等になる前の段階から、市町村が指導・勧告を行えるようになっています。
- 特例除外のタイミングが早まる可能性:管理不全空家等の段階で勧告を受けると、特定空家等と同様に固定資産税の住宅用地特例が外れる場合があります。
この改正によって、「まだ特定空家等ではないから大丈夫」と考えていた空き家についても、管理の状態次第では早い段階で勧告の対象になる可能性が出てきました。
更地にすると固定資産税が上がる理由
「古い家屋を取り壊して更地にすれば安心」と考える方もいますが、更地にすることで別の形で固定資産税が上がる場合があります。
- 住宅用地特例は建物があることが前提:住宅用地特例は、建物が建っている土地に適用される軽減措置のため、家屋を取り壊すと特例の対象から外れます。
- 税額が上がる目安:小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は課税標準が6分の1に軽減されていますが、更地になるとこの軽減がなくなり、土地の固定資産税がおおむね3〜4倍程度に増えることがあります。
- 取り壊しの判断は総合的に:老朽化した空き家を放置するリスクと、更地にした場合の税負担の増加を比べて、売却の時期とあわせて判断することが重要です。
取り壊しを検討する場合は、更地にしてから長期間売れ残ることのないよう、事前に不動産会社へ相談し、売却のめどを立ててから解体するのが一般的な進め方です。取り壊し費用は建物の規模にもよりますが、目安として100万円〜200万円程度かかることが多く、売却後の手取り額とあわせて試算しておくと安心です。
札幌の空き家ならではのリスク
札幌のように積雪のある地域では、空き家の放置による影響が本州以上に大きく出ることがあります。
- 雪による建物の傷み:誰も住んでいない家屋は、雪おろしがされないことで屋根や外壁が傷みやすく、放置期間が長いほど劣化が進みます。
- 冬季は解体費が上がる:積雪期は工事の効率が下がるため、冬季に解体を行うと費用が夏場より10%〜20%程度割高になる傾向があり、可能であれば雪のない時期に計画するほうが負担を抑えやすいです。
- 除雪されない空き家は近隣の苦情になりやすい:屋根からの落雪や、除雪されない敷地が歩行者の妨げになることで、近隣とのトラブルに発展することもあります。
市街地エリアだけでなく、地下鉄沿線・JR沿線から離れた郊外の空き家でも、こうしたリスクは同じように生じます。
空き家を放置しないための選択肢
空き家を放置しないためには、早い段階で方針を決めることが大切です。
- 売却する:空き家のまま、または取り壊してから売却する方法です。昭和56年5月31日以前に建築された家屋で条件を満たせば、相続空き家の3,000万円特別控除が使える場合もあります。
- 賃貸に出す:管理会社に委託して賃貸することで、空き家の状態を避けられます。
- 管理サービスを利用する:定期的な巡回や通水・通気を行う空き家管理サービスを利用し、当面の管理を委託する方法もあります。目安として月5,000円〜1万円程度の費用がかかることが一般的です。
相場の目安を知りたい場合は無料AI査定ツールで概算を確認でき、エリア別の相場一覧もあわせて参考にできます。固定資産税や特例の適用については、最終的に税理士や市町村の窓口に確認することをおすすめします。相続登記が済んでいない空き家の場合は、司法書士への相談もあわせて進めておくと安心です。
よくある質問
Q: 空き家を放置すると固定資産税は必ず上がりますか
A: すぐに上がるわけではありませんが、管理が不十分で特定空家等や管理不全空家等に指定され、勧告を受けると住宅用地特例が外れ、税額が増える可能性があります。
普段からの管理状態が重要になります。
Q: 更地にすれば税金は安くなりますか
A: 更地にすると住宅用地特例の対象から外れるため、かえって固定資産税が上がる場合があります。
取り壊しは売却のめどを立ててから行うのが一般的です。
Q: 管理不全空家等とはどのような空き家ですか
A: そのまま放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家として、2023年12月施行の改正空家法で新たに勧告の対象に加わった区分です。
特定空家等になる前の段階から指導の対象になり得ます。
Q: 札幌の空き家は放置するとどんなリスクがありますか
A: 積雪により屋根や外壁の傷みが進みやすく、除雪されないことで近隣とのトラブルにつながることもあります。
冬季は解体費用が上がる傾向もあるため、早めの方針決定をおすすめします。
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