囲い込みとは?売主が受けるデメリットを解説
不動産を売却する際、「囲い込み」という言葉を耳にしたことはありませんか。囲い込みとは、仲介会社が自社の利益を優先し、他社からの購入希望者を意図的に排除する行為です。
売主にとっては売却価格の低下や期間の長期化など、深刻なデメリットにつながります。特に札幌の不動産市場では、冬季の内覧減少を口実にした囲い込みが起きやすい傾向があります。
この記事では、囲い込みの仕組みから売主が受ける具体的なデメリット、見抜き方、防止策までを札幌の実情に基づいて詳しく解説します。
不動産の囲い込みとは?仕組みをわかりやすく解説
囲い込みとは、売主から売却依頼を受けた不動産会社が、他社の買主を故意にブロックする行為です。まずはその構造を理解しましょう。
囲い込みが起こる構造と両手仲介の関係
不動産取引の仲介には「片手仲介」と「両手仲介」の2種類があります。片手仲介は売主側・買主側それぞれに別の仲介会社がつく形態で、各社が受け取る仲介手数料は売買価格の約3%+6万円です。
一方、両手仲介は1社が売主・買主の両方を担当します。この場合、仲介会社は双方から手数料を受け取れるため、報酬が2倍になります。
例えば、2,500万円の物件を売却した場合の仲介手数料は片手で約81万円ですが、両手仲介なら約162万円です。この差額を狙って、仲介会社が他社の買主紹介を断るのが囲い込みの本質です。
レインズの仕組みと囲い込みの手口
レインズ(REINS)とは、国土交通大臣が指定する不動産流通標準情報システムです。専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んだ場合、仲介会社は契約から5営業日以内(専属専任は7営業日以内)にレインズへ物件情報を登録する義務があります。
しかし囲い込みをする会社は、以下のような手口で他社からの問い合わせを排除します。
- レインズに登録後すぐにステータスを「商談中」に変更する
- 他社からの電話に「売主の都合で内覧できない」と虚偽の回答をする
- 物件資料の提供を意図的に遅らせる
- レインズの登録内容を最低限にとどめ、物件の魅力が伝わらないようにする
このような行為は宅地建物取引業法に違反する可能性がありますが、外部から証明しにくいため、売主が自ら注意する必要があります。
囲い込みで売主が受ける5つのデメリット
囲い込みをされた場合、売主には具体的にどのような不利益が生じるのでしょうか。金額や期間を交えて解説します。
売却価格が下がる・売却期間が長引くリスク
囲い込みによって買主候補が制限されると、競争原理が働かなくなります。通常であれば複数の購入希望者が現れて価格交渉が有利に進むところ、相場より1割〜2割低い価格で売却せざるを得ないケースが報告されています。
例えば、札幌市内のマンションで適正価格が2,000万円の物件であれば、囲い込みによって1,600万円〜1,800万円程度まで下がる可能性があります。差額は200万円〜400万円にもなります。
また、売却期間についても影響は深刻です。通常の売却期間が平均3〜6か月であるのに対し、囲い込みされた物件は8か月〜12か月以上かかることも珍しくありません。
機会損失と精神的負担が生じる理由
売却が長期化すると、売主には次のようなデメリットが重なります。
- 住み替え計画の遅延:新居の購入タイミングを逃し、仮住まい費用が月額5万円〜10万円発生する
- 固定資産税や管理費の継続負担:マンションなら月額1.5万円〜3万円の管理費・修繕積立金が余分にかかる
- 物件の市場価値低下:長期間売れ残った物件は「売れ残り」のイメージがつき、さらに値下げを求められる
- 精神的ストレス:「なぜ売れないのか」という不安が長期間続く
囲い込みが原因とは気づかず、価格を下げ続けてしまう売主も少なくありません。適切な知識を持つことが、お客様ご自身の資産を守る第一歩です。
売却にかかる費用の全体像については、売却の方法と費用についてはこちらで詳しくまとめています。
札幌の不動産市場で囲い込みが起きやすい背景
札幌には本州とは異なる不動産市場の特性があり、囲い込みが起きやすい土壌が存在します。道内特有の事情を理解しておきましょう。
冬季の内覧減少を口実にした囲い込みの実態
札幌では11月〜3月の約5か月間、積雪や路面凍結により物件の内覧件数が大幅に減少します。一般的に、冬季の内覧数は夏季と比べて約40%〜50%減少するとされています。
この時期、囲い込みをする仲介会社は「冬場は内覧希望者が少ないので仕方ありません」と説明します。しかし実際には、他社からの問い合わせを断っているだけというケースがあります。
北海道の冬季でも、地下鉄沿線やJR沿線の利便性が高い物件には一定の需要があります。「冬だから売れない」という説明だけで納得せず、レインズの登録状況を確認することが大切です。
札幌の地価動向と売り急ぎを誘う手法
2026年現在、札幌の住宅地の公示地価は前年比で約2.5%〜4%の上昇傾向が続いています。特に地下鉄東豊線・東西線沿線や市街地エリアの需要は堅調です。
しかし囲い込みをする会社は、売主に対して「札幌の市場はピークを過ぎた」「今後は下落する」といった不安をあおり、自社が見つけた安い買主で早期に成約させようとすることがあります。
道内の不動産市場は、札幌都心部と郊外で動きが大きく異なります。お客様ご自身でも国土交通省の地価公示データや北海道の不動産取引価格情報を確認し、客観的な相場観を持つことをおすすめします。
お住まいのエリアの相場を確認したい方は、エリア相場一覧ページをご覧ください。
囲い込みを見抜くチェックポイント
囲い込みは外から見えにくい行為ですが、売主が自分で確認できる方法があります。以下の手順を実践してみてください。
レインズ登録証明書の確認方法
専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合、仲介会社はレインズ登録証明書を売主に交付する義務があります。この証明書に記載されたIDとパスワードで、レインズの「売主向け確認画面」にログインできます。
確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 物件のステータスが「公開中」になっているか(「商談中」「一時停止」になっていないか)
- 登録されている物件情報が正確で十分な内容か
- 図面や写真が適切に掲載されているか
- 登録日が媒介契約締結から規定の日数以内か
証明書を受け取っていない場合は、仲介会社に交付を求めましょう。交付を拒否する会社は、囲い込みの疑いが強いといえます。
他社に問い合わせて反応を確かめる方法
最も効果的な確認方法は、知人や別の不動産会社にお客様の物件について問い合わせてもらうことです。
具体的には、以下の手順で進めます。
- 信頼できる別の不動産会社に依頼し、レインズで物件を検索してもらう
- その会社から担当仲介会社に「購入希望のお客様がいる」と連絡してもらう
- 「商談中です」「内覧できません」と断られた場合は、囲い込みの可能性が高い
- 断られた日時と内容を記録しておく
この方法で囲い込みが確認できた場合は、次のセクションで紹介する対処法を早急に実行しましょう。
囲い込みを防ぐための対策と不動産会社の選び方
囲い込みを未然に防ぐには、媒介契約の選び方と不動産会社の見極めが重要です。事前の対策を知っておきましょう。
媒介契約の種類と囲い込みリスクの関係
媒介契約には3種類あり、それぞれ囲い込みリスクが異なります。
- 一般媒介契約:複数社に同時依頼可能。囲い込みリスクは最も低い。ただし各社の販売活動が消極的になりやすい面もある
- 専任媒介契約:1社のみに依頼。レインズ登録義務あり(7営業日以内)。2週間に1回以上の業務報告義務。囲い込みリスクは中程度
- 専属専任媒介契約:1社のみに依頼。レインズ登録義務あり(5営業日以内)。1週間に1回以上の業務報告義務。売主自身で買主を見つけることも不可。囲い込みリスクは最も高い
囲い込みを防ぐ観点だけで考えれば、一般媒介契約が有利です。しかし、信頼できる会社と専任媒介契約を結んだ方が、手厚い販売活動を受けられるメリットもあります。
重要なのは、契約前に囲い込みをしないことを明確に確認することです。レインズの登録状況を定期的に開示してくれる会社を選びましょう。
信頼できる不動産会社を見極めるポイント
囲い込みをしない会社を見極めるために、以下のチェックリストを活用してください。
- レインズ登録証明書の即時交付を約束してくれるか
- 販売活動の報告を定期的かつ具体的に行ってくれるか
- 他社からの問い合わせ件数を正直に開示してくれるか
- 片手仲介でも積極的に成約を目指す姿勢があるか
- 査定価格の根拠を成約事例や相場データに基づいて説明してくれるか
札幌で不動産売却をお考えの方は、複数社に査定を依頼し、対応の誠実さを比較することをおすすめします。当社では囲い込みを一切行わず、レインズの登録状況もすべて開示しています。当社へのご相談はこちらからお気軽にお問い合わせください。
囲い込みされたときの対処法と相談先
もし囲い込みが疑われる場合、売主として取るべき具体的な行動があります。手続きの流れと注意点を確認しましょう。
媒介契約の解除手順と注意点
専任媒介契約・専属専任媒介契約の契約期間は、一般的に最長3か月です。契約期間の満了をもって更新しなければ、自動的に契約は終了します。
ただし、囲い込みが明らかな場合は契約期間中でも解除できる可能性があります。手順は以下のとおりです。
- 囲い込みの証拠を収集する(他社に問い合わせた記録、レインズのステータス履歴など)
- 仲介会社に書面で囲い込みの事実を指摘し、改善を求める
- 改善されない場合、媒介契約の債務不履行を理由に解除を通知する
- 解除通知は内容証明郵便で送付することが望ましい
注意点として、契約期間中の途中解除では、仲介会社からそれまでの広告費用などを請求される場合があります。ただし、囲い込みという義務違反がある場合は、費用請求が認められないケースが多いとされています。
行政への相談窓口と活用方法
囲い込みに対しては、以下の行政窓口に相談できます。
- 北海道庁 建設部住宅局建築指導課:宅建業者への指導・処分権限を持つ
- 公益社団法人 全日本不動産協会 北海道本部:業界団体による相談・苦情対応
- 公益社団法人 不動産流通推進センター:消費者向けの無料相談窓口
- 国土交通省 北海道開発局:重大な法令違反の通報先
相談の際は、媒介契約書のコピー、レインズ登録証明書、他社からの問い合わせ結果の記録を準備しておくとスムーズです。行政指導が入った場合、仲介会社は業務停止や免許取消の処分を受ける可能性があります。
囲い込みのない売却で適正価格を実現するために
囲い込みを防ぎ、適正価格で売却を成功させるために、売主が取るべき行動をまとめます。
複数社の査定比較が重要な理由
囲い込みを避ける最も効果的な方法は、最低3社以上の不動産会社に査定を依頼することです。複数の査定額を比較すれば、相場観が養われ、不自然な安値提示に気づけます。
査定を依頼する際のポイントは以下のとおりです。
- 査定額だけでなく、その根拠となる成約事例を確認する
- 販売戦略や広告方法の具体的な説明を求める
- レインズへの登録方針と情報開示の姿勢を確認する
- 囲い込みをしないことを契約前に明確に約束してもらう
札幌の不動産市場は、エリアや物件種別によって相場が大きく異なります。地下鉄沿線の築15年以内のマンションと、郊外の築30年の戸建てでは、売却戦略もまったく違います。
当社では、AIを活用した無料査定を実施しており、電話なしでお気軽にご利用いただけます。売却費用の詳細についてはエリア別の相場情報も参考にしてください。
囲い込みのリスクを正しく理解し、信頼できるパートナーを選ぶことが、札幌での不動産売却を成功させる最大のポイントです。少しでも不安がある方は、まずは複数社への相談から始めてみてください。
よくある質問
Q: 囲い込みをされているか確認する方法はありますか?
A: 専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合、仲介会社から交付されるレインズ登録証明書で物件のステータスを確認できます。「公開中」以外のステータスになっていれば注意が必要です。
さらに効果的なのは、別の不動産会社に依頼してお客様の物件について問い合わせてもらう方法です。「商談中」「内覧不可」と断られた場合、囲い込みの可能性があります。
Q: 囲い込みで売却価格はどのくらい下がる可能性がありますか?
A: 一般的に、囲い込みによって相場より1割〜2割程度低い価格で売却されるケースがあるとされています。2,000万円の物件であれば、200万円〜400万円の差額が生じる計算です。
また、売却期間が通常の3〜6か月から8か月〜12か月に長期化し、その間の管理費や固定資産税の負担も増加します。
Q: 囲い込みされた場合、媒介契約は解除できますか?
A: 専任媒介契約の契約期間は最長3か月で、更新しなければ自動的に終了します。囲い込みが明らかな場合は、債務不履行を理由に契約期間中でも解除できる可能性があります。
解除を申し出る際は、他社への問い合わせ記録やレインズのステータス履歴など、証拠を収集しておくことが重要です。内容証明郵便での通知が望ましいとされています。
Q: 札幌で囲い込みを避けるにはどうすればよいですか?
A: 最低3社以上の不動産会社に査定を依頼し、対応の誠実さや販売戦略を比較することが最も効果的です。一般媒介契約を活用して複数社に依頼する方法も有効です。
特に札幌では冬季(11月〜3月)に「内覧が少ないのは仕方ない」と説明されやすいため、レインズの登録状況をこまめに確認し、道内の他社にも問い合わせて状況を把握しましょう。









