住みながら家を売るときの注意点
住み替え先がまだ決まっていない、あるいは資金計画上、売却代金を新居購入の頭金に充てたいといった事情から、多くの方は今の家に住みながら売却活動を進めます。しかし、生活しながらの売却には、内見のたびに部屋を片付ける手間や、急な内見依頼への対応、近隣への配慮など、空き家の売却とは異なる注意点があります。
この記事では、住みながら家を売るときのメリット・デメリットと、内見対応の工夫、スケジュール調整の考え方について、札幌ならではの冬の暮らしの事情も踏まえて具体的に解説します。
住みながら売るとはどういうことか
住みながら売るとは、現在の生活を続けながら不動産会社と媒介契約を結び、内見や売買契約、引渡しまでの手続きを進める売却方法です。多くの売主が、次の住まいへの引っ越しと売却のタイミングをどう合わせるかで悩みます。
- 先に売ってから住み替える:売却代金を確定させてから新居を探すため、資金計画が立てやすくなります。
- 並行して進める:売却活動と新居探しを同時に進め、タイミングを合わせて引渡し・引っ越しを行います。
いずれの場合も、売却活動が続いている期間は、これまでどおりの生活のなかで内見を受け入れる必要があります。
住みながら売るメリット
住みながら売却を進めることには、次のようなメリットがあります。
- 仮住まいの費用がかからない:先に退去して空き家にする場合、仮住まいの家賃(一般的な賃貸で月8〜15万円程度)が発生しますが、住みながらであればこの費用を抑えられます。
- 生活感のある状態を見せられる:家具や生活用品が配置された状態は、買主が実際の暮らしをイメージしやすいという利点もあります。
- 売却代金を新居資金に充てやすい:先に売却代金を確定させてから新居を探すことで、資金計画に無理が出にくくなります。
住みながら売るデメリット・注意点
一方で、住みながらの売却には次のような注意点もあります。
- 内見のたびに片付けが必要:内見の連絡は前日や当日に入ることも多く、そのたびに部屋を整える手間がかかります。
- プライバシーへの配慮:クローゼットや押入れの中まで見られることもあり、私物の管理に気を配る必要があります。
- 売却期間が長引くリスク:家具が配置された状態では、部屋の広さが実際より狭く感じられることもあり、成約までの期間(一般的に3〜6か月程度)に影響する場合があります。
- 近隣への配慮:内見のたびに見知らぬ人が出入りすることになるため、事前に近隣へ一言伝えておくと安心です。
内見対応の工夫|冬の札幌ならではの準備
住みながらの内見では、日常生活と両立させながら準備を整える工夫が必要です。特に札幌で12月から3月にかけて内見を受け入れる場合は、次のような点に注意しましょう。
- 玄関前・駐車スペースの除雪:生活しながらの除雪は負担が大きいですが、内見前には必ず玄関アプローチの雪かきを済ませ、買主が転倒しないようにしておきます。
- 来客用の靴下・スリッパの準備:冬場は買主の足元が冷えやすいため、来客用の靴下やスリッパを常備しておくと、急な内見にもすぐ対応できます。
- 融雪槽・ロードヒーティングの稼働状況の把握:住みながら暮らしているからこそ答えられる、稼働状況や年間の維持費(融雪槽で年間2〜5万円程度、ロードヒーティングで月数千円〜1万円程度が目安)を整理しておきます。
- 暖房の種類と灯油代の説明:実際に使用している灯油代・電気代(月1〜3万円程度が目安)を、直近の明細をもとに答えられるようにしておきます。
- 二重窓・断熱性能の把握:日々の体感として、二重窓の効果や結露の有無なども具体的に説明できると、買主の安心材料になります。
住みながらの内見だからこそ、暮らしの実感を交えたリアルな説明ができるという利点もあります。冬の暮らし方に関する質問への準備は、内見対応の質を大きく左右します。
スケジュール調整の考え方
住みながら売却を進める場合、引渡し時期の調整が重要になります。
- 引渡し猶予の交渉:契約後、新居への引っ越しが完了するまでの猶予期間(一般的に1〜2か月程度)を買主と交渉することがあります。
- 賃貸契約による引渡し後の居住継続:引渡し後も一定期間、賃料を支払って住み続ける「リースバック」に似た取り決めを個別に交渉するケースもありますが、一般的な仲介取引では引渡しと同時に退去することが多いです。
- 新居の契約時期との調整:新居の引き渡しと現在の家の引渡しのタイミングがずれると、仮住まいが必要になる場合もあるため、早めにスケジュールを組み立てておくことが大切です。
売り出し時期の選び方|春の転勤需要を意識する
札幌の不動産市場では、進学や転勤に伴う引っ越しが集中する2〜3月に向けて、買主の動きが活発になる傾向があります。この需要を取り込むため、12月〜1月のうちに売り出しを始めておく売主が多く見られます。住みながらの売却であれば、積雪期の内見対応が必要になりますが、春の需要期に照準を合わせた早めの売り出しは、成約までの期間短縮につながりやすい傾向があります。
地下鉄沿線やJR沿線の市街地エリアは年間を通じて一定の需要がありますが、郊外の市街地エリア以外のエリアでは、季節による内見件数の波が大きくなる傾向があります。売却全体のスケジュールや費用については売却の流れと費用・税金のページ、エリアごとの相場はエリア別の相場一覧で確認いただけます。
住みながら売る場合の費用感の目安
住みながら売却を進める場合も、仲介手数料や税金など基本的な費用構造は空き家での売却と変わりません。売買価格3,000万円の物件であれば、仲介手数料の目安は約105万円((3,000万円×3%+6万円)×1.1)、印紙税は1,000万円超5,000万円以下の軽減措置で1万円が目安です(令和9年3月31日まで)。参考として、札幌市中央区の住宅地はおおむね20〜26万円/㎡(坪66〜86万円程度)、北区・東区・白石区・豊平区はおおむね8〜13万円/㎡(坪26〜43万円程度)が相場の目安とされています。住みながらの売却では、こうした費用を差し引いた手取り額から新居の頭金をいくら確保できるかを、早い段階でシミュレーションしておくと安心です。
築20年前後の戸建てで面積100㎡(約30坪)程度の物件であれば、内見は5〜10件程度を経て成約に至るケースが多く見られます。住みながらの内見対応を1件ごとに丁寧に行うことが、結果として成約までの期間短縮につながります。
よくある質問
Q: 住みながら売るのと空き家にしてから売るのでは、どちらが早く売れますか。
A: 一概には言えませんが、生活感のある状態は買主が暮らしをイメージしやすい一方、部屋が狭く見える場合もあります。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、担当者と相談しながら決めることをおすすめします。
Q: 内見のたびに毎回片付けるのは大変ではないですか。
A: 確かに手間はかかりますが、収納の8割程度に荷物を抑えておく、私物を最小限にしておくなどの工夫で負担を軽減できます。
内見の連絡は前日や当日に入ることもあるため、常に対応できる状態を意識しておくと安心です。
Q: 冬に住みながら内見対応するときの注意点は何ですか。
A: 玄関前の除雪、来客用の靴下の準備、室温の調整が主なポイントです。
融雪槽やロードヒーティングの稼働状況、暖房の種類と灯油代は住んでいるからこそ具体的に説明できる部分です。
Q: 引渡し後もすぐに新居へ引っ越せない場合はどうすればよいですか。
A: 契約時に、買主と引渡し猶予期間について交渉することがあります。
新居の契約時期とあわせて、早めにスケジュールを調整しておくことをおすすめします。









