遺産分割の4つの方法と不動産の分け方
相続財産の中に不動産が含まれていると、現金のように単純に金額で分けることができず、遺産分割の話し合いが難航しやすくなります。「実家をどう分ければ公平なのか」「誰か一人が住み続けたいと言っている場合はどうすればよいか」といった悩みは、札幌でも相続の相談の中でよく耳にします。
この記事では、遺産分割における不動産の分け方として代表的な4つの方法(現物分割・代償分割・換価分割・共有分割)を、それぞれのメリットと注意点とともに解説します。
遺産分割で不動産をどう分けるか
不動産は現金のように簡単に分割できない財産のため、遺産分割の方法によって相続人それぞれの手取り額や負担が変わってきます。
- 現物分割:不動産をそのままの形で特定の相続人が取得する方法です。
- 代償分割:一人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う方法です。
- 換価分割:不動産を売却し、代金を相続人で分ける方法です。
- 共有分割:複数の相続人が共有名義で不動産を所有する方法です。
どの方法が適しているかは、相続財産全体の内容や相続人の希望によって異なるため、それぞれの特徴を理解したうえで話し合うことが大切です。
現物分割
現物分割は、不動産をそのままの形で特定の相続人が相続する、最もシンプルな方法です。
- メリット:不動産を売却せずに残せるため、実家に住み続けたい相続人がいる場合に適しています。
- デメリット:不動産を取得しない相続人との間で、価値の差が不公平になりやすいという課題があります。1坪は3.305785㎡で換算されるため、坪数と㎡数のどちらで評価額を比較するかもあらかじめ揃えておくと分かりやすくなります。
- 土地の分筆:広い土地であれば、複数区画に分筆してそれぞれの相続人が取得する方法もあります。100坪(約330㎡)を超えるような広い土地であれば、分筆による現物分割が選ばれることもあります。
例えば評価額2,000万円の実家を長男が単独で取得し、他の相続人には現金や他の財産を充てるといった形で、全体のバランスを取ることが一般的です。
代償分割
代償分割は、不動産を取得した相続人が、他の相続人に対して持分相当の代償金を支払う方法です。
- メリット:不動産を売却せずに、相続人間の公平性を保つことができます。
- デメリット:不動産を取得する相続人に、代償金を支払うだけの現金の準備が必要です。
- 代償金の目安:例えば評価額3,000万円の実家を長男が取得し、相続人が3人であれば、他の2人に1,000万円ずつを支払うといった計算になります。
代償金の金額は不動産の評価額をどう算定するかによって変わるため、査定を依頼して客観的な金額を把握しておくことが重要です。札幌市内であれば、専有面積70㎡前後のマンションで中央区はおおむね45〜70万円/㎡、その他の区は25〜40万円/㎡が成約㎡単価の目安とされ、こうした水準をもとに代償金を試算することもあります。
換価分割
換価分割は、不動産を売却して現金化し、その代金を相続人で分ける方法です。
- メリット:現金で分けるため、相続人間で公平に分割しやすい方法です。
- デメリット:売却には相続登記や仲介の手続きが必要で、実際に代金を受け取るまで数か月程度かかることが一般的です。
- 税金の考慮:売却して利益が出た場合、所有期間5年以下は39.63%、5年超は20.315%の譲渡所得税がかかります。相続空き家の特例など、条件を満たせば控除が使える場合もあります。
相続人の誰も実家に住む予定がない場合は、換価分割が選ばれることが多く、当社にも「売却して分けたい」というご相談を多くいただきます。売却額の目安は無料AI査定ツールで早めに確認しておくと、話し合いがスムーズに進みます。
共有分割とそのリスク
共有分割は、複数の相続人がそれぞれ持分を持つ形で不動産を共有名義にする方法です。
- メリット:その場での話し合いがまとまりやすく、一時的な解決策として選ばれやすい方法です。
- デメリット:将来売却や活用をする際に共有者全員の合意が必要になり、手続きが複雑になりやすい点が課題です。
- 世代をまたぐリスク:共有者の一人が亡くなると、その持分がさらに次の相続人に分かれ、権利関係が複雑化することがあります。
共有分割は一見公平に見えますが、長期的には売却や管理の判断が難しくなりやすいため、安易に選ばず慎重に検討することをおすすめします。共有名義のまま10年、20年と経過すると、相続人の数が数倍に増えていることも珍しくありません。
札幌の実家を分割する際に検討したいこと
札幌の実家を遺産分割する際には、道内ならではの事情もあわせて考える必要があります。
- 空き家期間の管理:話し合いが長引くほど空き家の期間が延び、雪で屋根や外壁が傷むリスクが高まります。
- 道外の相続人との調整:相続人が道外に住んでいて現地に来られない場合、換価分割で現金化するほうが調整しやすいと考える方もいます。
- エリアによる売却のしやすさ:地下鉄沿線・JR沿線の市街地エリアの物件は売却しやすい一方、郊外の土地は買い手が限られ、換価分割に時間がかかることがあります。
エリアごとの相場傾向はエリア別の相場一覧で確認できます。遺産分割や税務上の最終的な判断は、税理士・司法書士に相談することをおすすめします。
よくある質問
Q: 遺産分割で不動産をどの方法で分けるべきか迷っています
A: 相続人の中に住み続けたい人がいるかどうかや、代償金を用意できるかどうかによって適した方法が変わります。
まずは不動産の評価額を把握したうえで、相続人同士で話し合うことをおすすめします。
Q: 代償分割をする場合、代償金はどう決めますか
A: 不動産の評価額をもとに、取得しない相続人の持分相当額を算定するのが一般的です。
評価額の考え方によって金額が変わるため、査定を依頼しておくと客観的な話し合いがしやすくなります。
Q: 換価分割にはどのくらい時間がかかりますか
A: 相続登記や売却活動を含めると、代金を受け取るまで数か月から半年程度かかることが多いです。
空き家の状態や立地によっても期間は変わります。
Q: 共有分割は避けたほうがよいのですか
A: 必ず避けるべきというわけではありませんが、将来の売却や管理で共有者全員の合意が必要になる点には注意が必要です。
一時的な解決策として選ぶ場合も、将来の方針をあわせて話し合っておくと安心です。









